すべてを「人のせい」にすると、なぜか幸せになれる話
こんにちは。
まずはじめに、最近のニュースに関することから。
『おみおくりの作法』というイギリスの映画をご存知でしょうか。
日本では昨年公開。
近年、イギリスで社会問題になっている高齢者の孤独死を題材にした映画です。
ストーリーや演技、すべてにおいて秀逸なのですが 、私の中でいちばん印象に残ったのは各場面に出てくる幾つかのイギリスを象徴するものです。
例えば、「フィッシュ・アンド・チップス」や「ダブルデッカー(二階建てバス)」。
多分、これは監督の全イギリス国民に対する「過去の歴史ばかりに目を向ける時代はとっくに終わった」というメッセージだと私は解釈しています。
今回のEU離脱か残留かを問う二者択一の国民投票はかなり拮抗していました。
投票に参加したイギリス国民それぞれが、未来に目を向けた結果であることは間違いないと思います。
日本の各新聞では、投票前からほぼ残留支持派の学者のインタビューが占めていたのはちょっと疑問ですが、世界は必ず良い方向に進むと私はいつも信じています。
London, 1998, Jan.(生意気だった頃の私です)
さて今回は、「すべてを人のせいにすると見えてくる意外なもの」について書きたいと思います。
「人のせいにする」という言葉にポジティブなイメージを持つ人は、多分ほとんどいないと思います。
例えば、喫茶店で隣の人が自分でコーヒーをこぼしてしまいました。
それを突然あなたのせいにしたとします。
それは、明らかに「人のせいにする」行為ですよね。
それでは、こんな場面ではどうでしょうか。
あなたの友人の一人が誰かに片思いをしているとします。
その友人があなたにアドバイスを求めてきました。
そこで、あなたはアタックすることを勧めます。
友人はそれを実行。
けど失敗。
友人は「失敗したのは、あなたのせい」と言います。
この場合、友人は100%「人のせいにしている」と言えるでしょうか?
仮に、あなたが友人に幸せになってもらいたくないから、故意に間違ったアドバイスをしたとします。
そしたらあなたのせいと言えるかもしれません。
このように「人のせいにする」という言葉には、事実をねじ曲げた責任転嫁と、事実に基づく責任転嫁の二つの意味があると思います。
では、もしあなたが現在の自分をとても不幸な人間だと思っているとします。
親もしつけに厳しく、いつも怒られてばかり。
一流大学を出て、給料の高い会社にも就職できた。
結婚もして子供もできた。
けれども幸せを全く感じない。
このような境遇、そしていま自分が感じている不幸を、他人(もしくは親)のせいにしていいものなのでしょうか?
あなたはどう思いますか?
私から言わせていただくと、「一旦は」すべてを他人もしくは親のせいにしていいと思います。
ここで、あなたに3つだけ質問させてください。
①あなたが子供の頃の大好物は何ですか?
②あなたは子供の頃、どんな大人になりたいと思っていましたか?
③あなたが子供の頃、褒められて一番嬉しかったことは何ですか?
人間には行動や思考(認識)の決まったパターンがあり、それは人それぞれ異なります。
その行動と思考(認識)のパターンを司っているのは脳です。
心理学や脳科学ではそれを「ブリーフシステム」と呼んでいます。
では、そのブリーフシステムは何を基にいつ頃出来上がるのか?
人間のブリーフシステムは、子供の頃に周りの人間、特に両親があなたに発した言葉によってほぼ出来上がると言われています。
しかも、子供の頃に出来上がったブリーフシステムはそのまま大人になっても引き継がれるのです。
上記の3つの質問も、そっくりそのまま今の自分に置き換えたとしても、答えが同じになる人が結構多いのではないでしょうか。
つまり、人間の頭の中には親を筆頭に、あなたの周りにいる(もしくは、いた)人たちの言葉が蓄積されています。
ということは、今あなたが置かれている状況も、100%あなたの意思決定に基づいて辿り着いた場所ということはできなくなります。
もし、あなたが「映画スターを目指す!」と宣言したとします。
あなたの周りにいる人たちは何と言うか予想がつきますか?
多分、このように言う人が多いのではないでしょうか。
「難しいよ」
「何で今さら?」
「(皮肉っぽく)いいんじゃない」
「今の仕事はどうすんの?」
などなど。
心の奥底で否定的にあなたを見る人が大半を占めると思います。
コーチは、最短であなたがその夢を達成できるよう全力でサポートします。
その際、コーチはあなたの過去は一切気にしません。
というか、過去にはまったく興味がありません。
とにかく、あなたのエフィカシー(自分の能力に対する自己評価)をどんどん上げるような言葉をかけていきます。
あなたがゴールを目指そうとしている時に、なんとか引き止めようとしたり、ネガティブなことを言う人たちのことをドリームキラーと呼びます。
もしかしたら、あなたの周りにも存在していたかもしれません。
一番身近なドリームキラーは親であることが多いと言われています。
たとえ、「あなたのために言ってるのよ!」と親身になってるフリをしていても立派なドリームキラーであることは間違いありません。
あなたがいくら素敵な夢や目標を持っていたとしても、ドリームキラーはあなたの過去しか見ません。
親、教師、友人、同僚、上司はあなたの過去に基づいたアドバイスしかしてくれません。
なぜでしょうか?
それは、あなたの未来は誰も知らないからです。
結局、あなたの未来を知っているのはあなた自身だけなのです。
だから、あなたの未来を信じる人以外の話を聞くべきではないのです。
では、あなたの周りの人によって作り上げられたブリーフシステムから逃れるには一体どうすればいいのでしょうか。
いまから、あなたにその方法をお教え致します。
それは、現状では達成することが到底できないくらいの、大きなゴールを設定することです。
親や他人、そして周りの人と共同制作した「現状」から抜け出すには、とにかく現状の外側にゴールを作ることです。
あなたを知っている人たちが、追いつけないところにあるゴールです。
もちろん、達成したら心の奥底から喜べるようなワクワクするものである必要がありあます。
こんな大きなゴールでいいのですか?とよく聞かれます。
いいのです。
むしろ、大きくないと脳は創造的に働かないのです。
おわりに。
冒頭でイギリスの話をしましたが、結局未来を変えるのは個人の強い意志だと私は思います。
意志も大事ですが、その前に「意思」さえない人が多すぎると感じます。
自らの意思で不十分な生き方を選んではいけません。
未来だけは「人のせい」にはできないのです。
それではまた。